Wordテンプレートでゆるゆりを感じる方法
ゆるゆりが好きだ。あのゆったりした世界観が大好きだ。以前は精神をすり減らしながら生きていたけど、ゆるゆりに出会ってから変わった。すり減るどころか、余裕がモリモリ増えていく毎日だ。私の通う学校は臨時休校中だが、心を病むことなく過ごしている。ゆるゆり最高。
ゆるゆりに手を出したのは、臨時休校が決定してすぐだった。つまり出会ってからまだ二か月とちょっとしか経っていない。でもそれは、ひとりの人間を沼に落とすには充分すぎるほどの長さだった。大室家も買ったし、10周年記念本も買った。OVAもそのうち買うだろう。
Twitterもゆるゆり関係のつぶやきが増えた。コミックスを読んで感情が高まったら長文の感想を書き込むし、食事の前に手を洗えば「手うがした」とつぶやく。その食事が終われば、デザートのラムレーズンを食べながら「ラムレーズンうめぇ」と写真に文を添えて投稿するのである。
そんな生活をするうちに、私の中に二次創作欲が湧いてきた。タイムラインには神絵師のファンアートが続々と流れてくる。それを眺めていると、自分の出来ることでゆるゆりに対する愛を表現したい、という気持ちが抑えきれなくなった。
#ゆるゆり消しはん部
— ハニワニハ (@haniwaidomath) 2020年5月6日
櫻子!
トーンまで彫ったのはたぶん初めて。難しいな…
昔ジョジョはん彫ってた時の感覚が若干蘇ってきた pic.twitter.com/Zc91i0ize4
そこで消しゴムはんこを作った。私は漫画のワンシーンなどを消しゴムはんこにする趣味があったのだが、最近はめっきり作らなくなっていた。
リハビリを兼ねて彫ってみると、とても楽しかった。編集者のてふさんから反応を頂いたりもした。色々なキャラを彫りながら、私は久々に消しゴムはんこ作りの楽しさを感じていた。
しかし最近、消しゴムはんこ以外の形でも二次創作をしたいと思うようになった。なにしろ休校の影響で時間は有り余っているのだ。消しゴムはんこだけしか作らないのも、少しもったいない気がする。
だが、私には満足な絵を描けるほどの画力は無い。かといって、SSを書くほどの文才も無かった。八方塞がりとはこのことだ。
そんなことを考えながら、またひとつはんこを完成させた。写真を撮ってTwitterに投稿し、彫る過程で出たゴミを片付けるうちに、机が散らかっていることに気づいた。ちょうど良い機会なので軽く掃除することにした。
場違いなものをあるべき場所に戻し、不要なものをゴミ箱に捨てていく。机の上には色んなものが乱雑に転がっている。埃まみれの充電ケーブル。曲がったゼムクリップ。ブックオフで買ったけれど読んでいない小説。消しゴムの入っていた包装。中学の時の生徒手帳。学校から届いたお知らせのプリント。
学校から届いたお知らせのプリント……?
差出人には「生徒会」とある。部活の部員勧誘ポスター制作のお願いについてのお知らせだった。
これだ。
Microsoftのホームページを見たことはあるだろうか?製品案内やサポート情報以外にも、PowerPointやWordで使えるテンプレートが配布されていたりする。内容は季節のイベントに関係するものから、確定申告などに使えるものまで多岐に渡る。そしてその中には、「保護者に渡すお知らせ文書のテンプレート」も存在するのである。
私はこのテンプレートをダウンロードして、Wordを立ち上げた。
文言を考え、書き換えること十数分。
「七森中の校内掲示板に貼られているお知らせ」ができた。
どうだろうか。事務的な文だから、文才を気にする必要はない。画力も不要だ。Wordだけでこんなにも簡単にゆるゆりワールドを感じるものが作れるとは。
この調子で、他のお知らせも作ることにした。もう1枚生徒会からのお知らせが欲しい。
ありそう。
一時保管場所が理科準備室になっているのは、私の西りせ観の延長だ。これが決定されるまで、増え続ける落とし物に困っているりせさんに、西垣先生が「私が預かっておいてやろうか?」と提案したりする場面もあっただろう。あったらいいなあ。
西垣先生といえば発明、爆発のイメージがついて回る。七森中ではそれに関係するお知らせもよく出たりするのではないだろうか。
1枚目はさておき、2枚目はだいぶ深刻だ。たぶんこのお知らせは半壊した理科室の扉に、細長いマグネットバーとかで貼られているだろう。
西垣先生がお知らせを掲示しているなら、七森中の他の教員も例外ではないだろう。南野先生からのお知らせを想像してみた。
体育科教員という立場にあるからには、当然授業に関係したお知らせを出すはずだ。プールの清掃はひょっとしたら陸上部にやらせているかもしれないが、知ったこちゃあない。私は水に濡れながらキャッキャウフフしている京綾と、それを見て鼻血を出している千歳が見たいのだ。
というわけで、計5枚のお知らせが出来上がった。これらをA4でプリントアウトして「現物」を手に入れる前に、私はあるものを制作した。
「七森中学校生徒会印」である。
こいつを印刷したお知らせに押せば
「生徒会から正式に掲示許可が下りたお知らせ」の完成だ。
こんな形で消しゴムはんこ制作スキルが役立つとは思わなかった。ある意味、「原点回帰」とも言えるかもしれない。
壁に貼れば完全に七森中の風景だ。最高か。家の都合上使えなかったが、画鋲でとめたり、自宅にあるなら黒板に貼ってみたりすれば、さらに「それっぽく」なるのではないだろうか。
というわけで、時間も文才も画力も使わず、ゆるゆりを感じるアイテムを制作する方法を紹介させてもらった。興味がある方はテンプレートを利用して、七森中学校の掲示物を作ってみてはどうだろう。
作ったお知らせを自室の壁に貼って楽しんでいたら、秘書検定3級の母に
「角印って名前の書いてあるところの近くに押すんじゃないの?」
と言われた。
そうなの…?